つい先日まで、当道の駅のトイレには、パートさんか清掃のおばさんが摘んできてくれたのでしょう、小菊に混ざって野の花の「赤マンマ」「野菊」「吾亦紅」が活けてありました。終戦の頃、小学下級生で千葉県検見川にいましたが、赤マンマの花が野原にいっぱいに咲いていました。女の子達が、秋には赤マンマの花を摘んでは「お赤飯」だといってままごと遊びをしていたのを懐かしく想い出します。野菊は、当地ではヨメナのことで野原や田の畦などで多く見られます。薄紫色の花を多くつけ、美しく清楚な感じがする私の大好きな花です。野菊というと、高校生の頃読んだ伊藤左千夫の『野菊の墓』のあの甘酸っぱい想い出が甦ってきます。私の母は昨年100歳で亡くなりましたが、まだ若かった頃ヨメナの若葉を摘み取ってきては、おひたしや油炒めにして、春の香りを楽しませてくれた姿が記憶の底から浮かんできます。吾亦紅は、今でも山路などでよく見かけます。分類ではバラ科の花となっているそうですが、バラのイメージとは程遠くおよそ花らしくない花で、細長い茎の上方に卵形のえび茶色の小さな花の塊をつけているだけの素朴であっさりとした地味な花です。しかし女性には人気のある秋草のようで、亡き母の好きだった花であったとかで母を思慕させる歌としても詠まれ、昨年の暮れ頃であったか「吾亦紅」という曲がテレビでよく流れていました。

吾亦紅 母にちかづく ごとくなり  ―松村 蒼石―

 花には、人それぞれに想い出があるようです。
 トイレに花を生けようという「花一輪運動」は、道の駅向上会議福岡県分科会がマナーアップ対策の一環として始めたものです。この発想は、トイレをいつ行ってもきれいで気持ちよく使ってもらいたいという思いから出たものです。この運動は、今では福岡県下の道の駅のみならず、九州沖縄全域の道の駅に普及し定着しているようです。季節の花が、旅する人に語りかけ、心を慰め快適なドライブの一助ともなっているようです。
 当道の駅では、先に述べましたが、パートさんや清掃のおばさんたちが花を年中絶やさないようにと常々心配りをして下さっています。この場をお借りして改めて心から感謝したいと思います。