豊前通信も今回で180号となります。私自身よくぞ続けてこれたというのが実感ですが、これは偏に毎号読んでいただいている会員の皆様の反応や激励の賜物であり、心から感謝申し上げる次第です。
開駅当時、道の駅をどう運営すればよいのか暗中模索する中で半年が過ぎ、漸く明るい希望が見え始めた矢先に、東九州自動車道の構想がもち上がります。それは当道の駅前の国道10号とは別ルートの高速道路。これでは折角の努力が報われるどころか全く水泡に帰してしまうのではないかと危惧されます。しかしこれを既定の事実として受け止め、開通までの残された時間の中で、出来るだけ多くのリピーターを確保しておく戦略が必要だと考えました。ここで思いついたのが「お米会員制度」でした。豊前米は江戸時代に大阪の米市場で「すし米」として高い評価を得ていたことを知ったからです。会員の特典として毎月はがき1枚の会報誌「豊前通信」をお届けすることとしました。当初はお米の販売状況や、豊前の四季折々の風景などを伝える歳時記的な内容のものでしたが、取材で地域を歩いて行くうちに、豊前ならではの特産品を勉強したり、生業と真摯に取り組んでおられる人々の姿を見て、明日の豊前づくりとはどうあるべきなのかといったことへ関心が移ってゆきました。その意味で豊前通信は私の自分史でもあります。
 豊前通信を書き始めて10年経過した時点で、『豊前通信―地域づくりへの挑戦』として、1冊の本にまとめました。国土交通省九州整備局の道路部長であられた吉崎収氏に轟地区との交流会に参加していただいたことの御縁で、推薦文をお願いしましたところ快諾を得ました。「彼の本質は、その経営手腕以上に、故郷とそこに暮らし働く人々に向けられている彼の眼差しの中に読み取れる。」という心温まる励ましの言葉をいただきました。私の大切な財産です。
また開駅準備の段階で資金不足に苦しんでいた折、融資して下さった信用金庫にお礼として本書を届けましたところ、図らずも福岡ひびき経営者(ソーシャルビジネス部門)の受賞の栄に浴することとなりました。
 あれから5年を経過しますが。地域の人口減は止まりません。轟地区の米作り農家は頑張っていますが、今年のTPP交渉の成り行き次第ではこの先米づくりが続けられるのか心配です。更に来年中には東九州自動車道も全面開通となり、道の駅の運営も正念場を迎えます。私も来年の誕生日で80歳となります。体の許す限り、これまでの姿勢で地域を見つめ、提言を続けていきたいと考えています。
 相変わりませず、御贔屓の程よろしくお願い申し上げ感謝の言葉とします。